視界にも変化が。それでも必死に仕事をしていた。
2週目の週末、なんとか、というより、無理やりキャンプに行った。
そしてその晩やはり熱が出た。
この1週間、夜になると必ず熱が出る。解熱剤を飲んで熱を下げ、鎮痛剤を飲んで頭痛を和らげ日中をなんとかやり過ごす。
この日も朝目を覚ますと体のほてりは治まっていた。おそらく平熱だ。
眠い目をこすりながら電気をつけた。
あれ?
もう一度目をこする。
んんん???
左側の視界がおかしい。
ギラギラ
チカチカ
三日月形をしたその光ったようなものは、視線を動かしてもついてくる。
右目を隠してみる。
暗い
両目で見ている時よりも明らかに薄暗い。光を取り込んでいないかのようだ。
この症状はいったいなんだ。
そう思ったが仕事に行かないといけないと思い布団から起き上がる。体は鉛のように重く、あちこち関節が痛い。
それでもなんとか出勤し業務の引き継ぎを受ける。
やることは山積みだ。職員の面談も予定していた。
病院に行く時間はなさそうだ。血液検査の結果を聞きに行くのは夕方にしよう。
数メートル歩くのもしんどい中で私は必死に仕事をした。
セカンドオピニオンを勧められる。
自分の仕事が一段落したところで職員を面談室に呼んだ。体調不良でしばらく休んでいた職員だ。
「体調不良」での欠勤は危険だ。辞める口実にされやすい。仮病ではないかと疑うことが多々ある。
だがこの職員は違った。本当に体調不良だった。甲状腺の病気が判明しステロイドを服用し始めたと言うのだ。
ストレスはないか、仕事はきつくないか、などと相手を気遣いながら面談を続けた。
するとその職員が突然
「その首の腫れ、大丈夫ですか。」
と聞いてきた。
「筋肉、みたいで。ちょっと体はしんどいけどね。」
私は腫れた部分に手を当てながら苦笑いをした。
体調を心配して面談をしているのに、その本人から逆に心配されるとはちょっとばつが悪い。
話はそこで終わらなかった。
「私、心配で病院を4つ回ったんです。大学病院にも行きました。一度他の病院にも行った方がいいですよ!」
どうやらその職員、最初の病院で甲状腺の病気だと言われた後、セカンドオピニオンを求めて3か所の病院を回ったというのだ。しかも大学病院まで行っている。
大げさだな。心配性なんだろう。
その時の率直な感想だ。
最後の最後までその職員にセカンドオピニオンを勧められ面談を終えた。
「セカンドオピニオン」
結局私の心には響かなかった。
コロナに感染したのかも、と思うようになる。
バタバタとしているうちに夕方になった。血液検査の結果を聞きに行こう。
耳鼻科は思った以上に混んでいた。広い駐車場なのに一台も空いていない。中をのぞくと満席、立っている人もいる。
これはだいぶ待たされるな。
私は中に入る前にあきらめた。明日にしよう。
会社まで歩いて戻るのがしんどい。彼氏さんに電話をして病院まで迎えに来てもらった。
目のチカチカも治らない。自分が感じている以上にストレスがあるのか疲れているのか。
もしかして、やっぱりコロナに感染しているのか。
いや、一緒にいる彼氏さんは元気だ。濃厚接触しているであろう上司もなんともない。周囲に陽性者もいない。
その日も帰宅して体温を測ると37度を優に超え38度になろうとしていた。
いや、むしろコロナに感染していた方がいいのではないか。
この頃からそう思うようになった。コロナであれば終わりが見える。きっと来週にはこのさまざまな症状も落ち着くはずだ。
ひとまず明日こそ耳鼻科に行こう。
コロナの検査はその後だ。
セカンドオピニオン
それはまだ必要ないだろう。
体のどこもかしこも調子が悪い。そしてそれは先週より明らかに悪くなっている。それでも私はいわゆる’経過観察’することに決めたのだ。
明日目が覚めたら良くなっているかもしれない。そんな期待を胸に目を閉じた。
夜中に頭痛で目が覚め、こっそりと鎮痛剤を飲む。
3週目の火曜日の朝がやってきた。現実は何一つ変わっていなかった。
続きは次回のブログで
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