自分が白血病かもなんて普通はそんなこと疑いもしない。
私もそうだった・・・
いつかは死ぬけどそれは遠い未来の話。健康にも気を使っているし、これまで病気らしい病気になっことはない。だからきっとこの先も病気にならない。
「私は大丈夫!」
何の根拠もないのに、自分は健康で長生きするんだという自信があった。それなのにそれが覆される日が来るなんて・・・
ついにその日がやってくる。
2022年11月3週目、土曜日の午後、私は紹介状を持って救急外来を受診した。
「早いほうがいい。」午前中に受診した耳鼻科の医師にそう勧められたのだ。
静まり返った病院。入口付近で診察を待つ人は皆救急外来の患者だ。それほど人数は多くない。30分程度待ち、診察室に呼ばれた。問診の後、血液検査をした。結果が出るまで1時間程度かかると言われ、その間点滴をすることとなった。
点滴をしながらCTも撮りに行き、結果を待った。
そして再度診察室に呼ばれた。血液検査の数値が並んだパソコンの画面を見ながら先生は言う。
「肝臓の数値が悪いですね。白血球の数値も異常に高いし、血小板、赤血球、ヘモグロビンの数値はかなり低いです。」
それ、だめなやつじゃないですか?
どうやら、目の前の若い先生も私をすんなり帰す気はなさそうだ。
「ちょっと上の先生に確認します。」
ですよね。こんなに体がしんどいんだもん、何にもないはずはない。
点滴の続きをしながら幅の狭いベッドで上の先生とやらを待った。数十分後、最初の先生とは違う若い先生がカーテンの中に入ってきた。
「私は外科の医師ですが、その私からみても・・・」
’上の先生’らしき人は、いかに血液検査の結果が異常かを説明し、「血液内科を紹介します。」と言って出て行った。そして待つことさらに数十分。三人目の先生がやってきた。
「血液内科の〇〇です。」
どうやら’ラスボス’の登場のようだ。私の体調を気遣った後本題に入る。
がん告知
「白血病の可能性が高いです。入院してすぐに治療を開始します。長い入院になると思います。」
救急外来の狭いベッドの上でラスボスからそう告げられた。
「そうですか。」私はただ、そう答えた。取り乱すことはなかった。呆然自失となっていたわけでもない。
「原因がわかってホッとした」それがその時の唯一の感情だった。
倦怠感が酷く、仕事は休んでいた。発熱は2週間続き、首の腫れも異様だった。あらゆる関節が悲鳴を上げるように痛み身体を動かすのが苦痛でならなかった。治療を受けて楽になりたいという気持ちが強かった。
時間の経過とともに悲しみや怒り、不安といった感情が湧いてくるのかと思ったがそれもなかった。
それにしてもだ・・・
がんの告知は私が想像していたものとは大いにかけ離れていた。
救急外来に付き添ってくれた彼氏さんが呼ばれることもなく、あっさりと、本当にあっさりと「白血病です」と告げられたのだ。がんの告知とはもっと重苦しくて、「がーーーん」となるものではなかったのか。ドラマの見過ぎだったのか、昨今はこんなものなのか。「風邪ですね」と言われたくらいの’ノリ’だった。
それくらいの’ノリ’が私にはちょうど良かったのかもしれない。ただ、一緒に来ていた彼氏さんは呼んでほしかったような・・・私から「月曜日に入院で、そのまま治療に入る。白血病かも。」といきなり知らさせたわけだ、LINEで。
病院の駐車場で待っていた彼からは「え?治るの?」と一言のみ返信があった。
白血病という言葉はもちろんお互い知っていたが、これからどんな試練が待っているのか、ということになると皆目見当もつかない。治るのか?それすら知らない。
そのような不確かな情報しか持ち合わせていないまま、かくして私は人生で初めての入院をすることとなる。
続きは次回のブログで
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