2022年11月下旬 寛解導入療法【お腹が臨月!】

闘病記【発症~治療】

身体の中に水が溜まっていく。

入院7日目。

1週間前の入院初日、病室に入る前に身長と体重を測った。身長は162㎝。これはいつも通りだ。そして体重は、驚きの54.5㎏!2か月前に測ったときは51㎏だった。私の適正体重だ。20代のころは40kg台だったが、その後は50㎏から52㎏台をうろうろしている。それなのになぜ54.5kgまでいっきに増えたのだろうか。あり得ない。一瞬目を疑った。体重計が壊れているのではないか、そう思ったくらいだ。

だが、思い返せば入院前、身体は日に日に弱っていくのに食欲はまるで反比例するかのように増えていった。満腹中枢が壊れたのではないかと思うほど毎食腹10分目、いやそれ以上に食べていた。

きっとそのせいだ。

そう考えると体重計は壊れていない。人生で初めて見た54.5という数字に多少落ち込んだが、入院後は食欲がなくなった。給食は1~2割程度しか食べられない。まったく食べられない時もある。体重は減っていくはずだ。

しかし、入院7日目の朝、体重がなんと57㎏になっていた!!

それこそあり得ない。ほとんど食べていないのだ。なぜ増える?

いや、待てよ、あり得るかもしれない。

私なりに考えた。

治療開始後、白血球や肝臓などの数値が改善され、バランスが戻っていく中、腎臓の数値だけが増加していった。そのため補液の量が3倍になった。そしてその頃から身体の右半分がむくみだし、顔も右側が腫れて容貌が変わってしまったのだ。お腹はパンパンで、まるで妊娠しているようだ。

身体に水が溜まっていっているのではないか。それなら体重が増えても不思議ではない。

毎朝看護師が体重を聞きに来る。それを待つことにした。

朝食後、看護師が来た。

「体重測りましたか。」

「はい、57㎏です。」

驚くと思った。しかしその看護師はいつも通りパソコンに入力しただけだった。食事量が極端に少ないことは知っているはずだし、1週間で体重が3㎏ほど増えているのに無反応とはどういうことか。

腑に落ちなかったが、体重が増えたことを問題視してる様子がなかったため、身体がむくんでいることは言わなかった。

そしてその2日後(入院9日目)

朝、目が覚めてトイレに行った。そして自分のお腹を見て(心の中で)叫んだ。

「な、なんだこれ!?」

お腹は2日前よりも明らかに大きくなっている。臨月だ。(後日、看護師に、臨月はもっとすごいと言われたが。)

急いで体重を測った。

57.5㎏

あれ?それほど増えてはいない。57㎏台の時点で私の中では異常だが、2日前と変わっていない。

ただ、お腹が膨れ上がったせいか給食がさらに食べられなくなった。固形物はまったく受け付けない。歩くときは大きなお腹を手で支え、点滴スタンドに寄りかかるようにしていた。

さすがにこれはまずいのではないか。

不安になり、看護師にむくんだ脚や膨れ上がったお腹を見せた。驚いた看護師がすぐに先生を呼びに行った。先生にも見てもらった。

「腹部のエコー検査をしましょう。」

そりゃそうだ。お腹がこんなことになっているのだ、水が溜まっているに違いない。

翌日(入院10日目)、さっそくエコー検査をした。

案の定、お腹に水が溜まりまくっていた。

結果、「尿で水が抜けていくのを待ちましょう。」ということになった。

次の日(入院11日目)の体重測定では、なんと、55㎏に減っていた。2.5kg減だ。水が多少抜けたのだろうか。でも臨月並みのお腹が凹んだようには見えない。ご飯も食べられない。それでも体重が減っていたことで多少気持ちは楽になった。

このまま減っていけば・・・と期待した。

1日で体重が5㎏も増加!

そしてさらに次の日(入院12日目)、体重が減っていることを期待して体重計の前に立った。左足をそっと乗せ、壁に手を付いて身体を支えながらゆっくりと右足も乗せた。デジタル数字がゼロから動き出した。「ピッ」と鳴って数字が止まる。

えええええ????

いや、まさか!

いったん体重計から降りた。深呼吸をして、もう一度ゆっくりと乗った。なるべく振動がないように。「ピッ」っと鳴り、再度デジタル数字が止まる。

60.0

間違いではない!昨日55kgだった体重がたった1日で5㎏も増えた!!!

卒倒しかけた。

60???

人生において60などという数字を見ることなどあり得ない、はずだ。いくら水が溜まっているとはいえ、1日で5㎏も増えるなんてことがあるのだろうか。衝撃的なその数値を前に私は呆然とした。そしてうなだれながら自分のベッドに戻る。出された給食を見る気にもなれない。

朝食後、看護師に体重を聞かれた。

驚いてくれ!

「60㎏でした。」

悲壮感あふれる顔で答えた。

「え?60㎏?昨日より5㎏も増えてる?」さすがに慌てた様子の看護師。

結果・・・

点滴が即座に中止になった。ステロイド剤の影響のようだ。点滴を中止して水が抜けなければ利尿剤を使うことになった。

臨月並みに突き出たお腹、象のようにむくんだ足、殴られたように腫れた顔。

そんな自分を見るたびに嫌になった。

体重が戻り、食べられるようになるにはどれだけの時間がかかるのだろうか。

私はぱんぱんになったお腹をさすりながら途方に暮れた。

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※血液検査の結果※

入院初日
(体重45.5kg)
入院7日目
(体重57㎏)
入院12日目
(体重60㎏)
基準値
白血球3万5,0005100.963,300~8,600
赤血球310万285万309万386万~492万
血小板2万7,0004万8,0002万7,00015万8,000~34万8,000
AST170221113~30
ALT17877357~23
LD2824634324124~222
尿素窒素14.463.731.88~20
血清クレアチニン0.722.301.280.46~0.79
基準値から外れているものもあるが、先生が言うにはバランスが戻ってきているとのこと。入院7日目、腎臓の数値が高いということで補液の量が3倍になった。入院12日目、体重は60㎏と急激に増加したものの、尿素窒素と血清クレアチニンの値はかなり改善している。

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