2022年11月下旬 寛解導入療法【食事内容の見直し】

闘病記【発症~治療】

薬を飲むだけでお腹がパンパン。

治療が始まると、私は途端に食べられなくなった。肉も魚も見たくない。味噌汁をすすり、数口の米飯をなんとか飲み込む。2、3割食べられればいいほうだ。腹水も溜まっていたせいだろう。その程度の量でお腹は満腹になる。配膳された給食にまったく手を付けないこともある。

食べたくない理由は単に食欲の問題だけではない。

そんな少量しか食べられないとはいえお腹はいっぱいになり、胃が圧迫されて薬を飲むことができないのだ。いったん横になり、1時間程度間を空ける。そうするとやっと薬を飲むことができる。

その後歯磨きをしようと思うのだが、薬を飲んだことでまた胃が苦しくなり起きていられない。ここでも1時間の休憩が必要になる。

というわけで食事から歯磨き終了まで2時間を要する。まったくもって大仕事だ。食事を少量でも口にするとその後大仕事が待っている。そう思うと余計に食べられない。

そんな状態が1週間ほど続いたころ、看護師から食事内容を栄養士に相談してはどうかと提案された。

確かにこのままだと治療に影響が出ないとも限らない。先生からも栄養を摂るように言われている。相談することにした。その日の午後、栄養士が病室まで来てくれた。

私からは現状と何だったら食べられそうかを伝え、それを聞いた栄養士がいろいろ提案をしてくれる。そのやり取りを何回か繰り返し食事内容が決まった。

朝ごはんは温められたやわらかいパンに変更した。そこにスープと高カロリーのゼリーをつけてもらう。昼は毎回麺類に変更。麺類はつるっと入っていくことが多い。夜は米飯をお粥に変え、肉と魚は禁止にし、卵料理をメインにしてもらった。

さっそくその日の夕飯から変更された。やはり全部は食べられない。だが、食べやすくなったと感じた。

少し気が楽になった。

アイスクリームに感動する。

翌日、上司が差し入れに来てくれると言うのでアイスクリームをお願いした。何かを食べるのが待ち遠しいと思ったのは入院して初めてのことだ。

ごくごく普通のバニラアイス、それでもそれを手に取った時に自然と笑みがこぼれた。笑ったのは久しぶりだった。

冷たいアイスが口に入るとひんやりして爽快な気分になる。そしてすぐにとろけ、喉を通過していく。バニラビーンズのいい香りがする私好みの味だ。それを何回も繰り返した。毎回幸せがこみ上げる。そして1回で食べきることができた。

その後食事量が増えていくのではないかと期待したがそれはなかった。内容を変更したとはいえ食べられない時もある。食べられるものを少しずつでも摂るようにした。例えば、パウチゼリー、ヨーグルト、アイスクリームなどだ。

夜中に目が覚めた時も寝ながらパウチゼリーを口にした。起き上がってペットボトルの水を飲むのが辛いというのが一番の理由だが、多少でも栄養を摂れるのではないかと思ったからだ。

食べたいと思うものはその日によってコロコロ変わる。あんなに感動を覚えたアイスクリームでさえも数日後には食べたくないと思ったくらいだ。差し入れしてもらう時は当日の午前中に伝えていた。何も食べたくない時もある。私の食欲はどこにいってしまったのか。

そのような状態は食事内容を変更してから1週間以上続いた。

食欲もさることながら、腹水の影響がかなり大きかった。なかなか減らない体重、臨月のままのお腹、これには随分と悩まされた。

そして12月に入り、やっと回復の兆しが見えてきた。

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