2022年12月中旬 寛解導入療法【回復に向かう】

闘病記【発症~治療】

グラコロに挑戦する。

「年末年始に一時退院する」

私の中で明確な目標ができた。気持ちが前向きになり、体調も良くなってきた。病は気から、というのはあながち嘘ではなさそうだ。

食欲も少しずつ戻って来ているのを実感した。「あれが食べたい。あれなら食べられるかも。」と思うようになってきたのだ。

この日はストックしてあったカロリーメイトに挑戦。これまでなら絶対食べられなかったが、難なくお腹に入っていった。これには驚いた。そしてカロリーメイトが食べられたことにより、「パンが食べたい。」という次の欲求が生まれた。

給食の見直しも行った。それまで主食はお粥にしてもらっていたが、それが「まずい」と感じるようになっていたからだ。思い切って米飯に戻してもらった。それが正解だった。量は食べられないが、普通食がおいしいと思えるようになっていた。

これはいける。食べたいものを食べてみよう!

そう思った私は、差し入れにマックのグラコロを頼んだ。毎年この時期に販売されるグラコロは期間限定メニューの中でも一番好きなハンバーガーなのだ。これが食べられたら本物ではないか。依頼してから差し入れまでの数日間、私は毎日「グラコロ、グラコロ」と念仏のように唱えていた。

週末に母親がグラコロを買ってきてくれた。熱意が伝わったのか、二つも入っていた。久しぶりに嗅ぐマクドナルドの匂い。私は目を閉じ、鼻からいっぱいにそのジャンクな匂いを吸い込んだ。この上ない至福のひととき。

「あーー。幸せ。」

グラコロを手に取る。ずっしりとした重みを感じた。包みを開き、かぶりつく。

「グラコロ~~」

なんだ、この幸せは。涙が出そうではないか。これまで当たり前に食べていた物が食べられるだけでこんなにも幸せを感じられるなんて。その後も一口一口味を確かめながら、大切に食べ進めていき、1個を完食した。感動すら覚えた。

この体験が忘れられなかった私は4日後に再度グラコロを頼んだ。期間限定商品だ。退院時にはもう売り切れで食べられないかもしれないと思ったからだ。2回目も感動がついてきた。

回復に向かっていく。

食欲が戻ってくると同時に、身体の水も抜け始め、体重が少しずつ減っていった。12月上旬に60kg あった体重は1週間で6kg減り、入院時の体重まで戻った。肺の水も抜けてきているようで、咳も治ってきた。すべてが順調に回復していく。毎日少しずつ元気になっているのを実感した。

ただ、お腹の張りはなかなか治らず、食欲はあってもすぐにお腹がいっぱいになり摂取量が思ったようには増えていかない。その頃、午後3時くらいが一番食べられる、という謎の周期を発見した。給食の時間とずれているため、コンビニのパンやデザートをストックしておき、自分のタイミングで食べるようにした。

この頃見ていたYouTubeが大食いと咀嚼音の動画。私だけかと思っていたら、どうやら「あるある」らしく、他の患者さんも見ているというのだ。食べたいのに食べられない、そんな自分の代わりに思いっきり食べてくれる動画を見てなぜか満足する。健康な人に話すと、「自分が食べられないのにそんな動画見てイライラしないの?」と不思議がられるのだが・・・なぜなんだろう。夜寝られない時は朝まで大食い動画を見て過ごした。そんな時期が2週間ほどあっただろうか。ある時から急に見るのが嫌になった。実際の食事摂取量が食欲に追い付いてきた頃だ。これも「あるある」なのだろうか。

私がよく見ていたASMR動画です。食欲をそそる音なのはもちろん、食べている時の表情も可愛くて飽きません。おすすめは揚げ物ですが、それ以外の食べ物の咀嚼音も癖になるレベル。

12月も後半に入ると、体重はさらに減少し、お腹の張りも改善。肺の水も抜けてきたため、入院以来続いていた尿測から解放された。なんともいえない解放感だ。大量に服薬していたステロイド剤も少しずつ減量されている。それで問題なければ年末年始退院できるという。あと少しだ。

リハビリも順調だった。最初のころはつま先やかかとの上げ下げ、立位保持という簡単なメニューをこなすのが精いっぱいだった。椅子から手を使わずに立ち上がろうとしてもできない。筋力がなくて立ち上がれないというより、「やり方を忘れた」という方が正しい。たった1週間の寝たきり生活で人間の身体はこんなにも変わってしまうのだと驚いた。身体を動かすことに慣れてくると歩ける距離が延び、床からの立ち上がりもできるようになった。退院中の生活にそれほど支障があるようには思えない程度には回復した。

退院が待ち遠しい。

毎日、食べたいものリストにメニューが追加されていった。退院中に食べ切れないほどの数だ。「早く、早く」そう思えば思うほど1日が長く感じられた。

そう思っていた矢先のことである。やらかした。自分を過信したのだ。

続きは次回のブログで。

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※血液検査の結果※

入院初日1週間後2週間後3週間後基準値
白血球3万5,0004109301,8503,300~8,600
赤血球310万244万266万265万386万~492万
血小板 2万7,0003万2万9,0005万8,00015万8,000~34万8,000
AST17015141413~30
ALT178     5836537~23
LD2824  471300263124~222
尿素窒素14.455.127.617.28~20
血清クレアチニン0.722.061.000.71 0.46~0.79
白血球の値は入院1週間後に底をつき、そこから徐々に回復している。赤血球と血小板は低値のままで、定期的に輸血をしている。肝臓と腎臓の数値は基準値より高いものもあるが、改善傾向と言える。

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