2回目は順調にメトトレキサートが抜ける
今回は地固め療法の2クール目で、メトトレキサートという種類の抗がん剤を2回に分けて投与する。
1回目は通常の量のメトトレキサートが投与されたのだが、体内からの抜けが悪かった。通常3日あれば規定値を下回り、尿検査は終了。数日後には点滴もなくなるはずだった。それが、2日も余分にかかった。おかげで点滴から解放されたのはわずか2日。すぐに2回目の投与のため、点滴につながれた。
2回目のメトトレキサートは量を半分にして投与された。抜けが悪いと臓器にダメージを与える可能性があるからだ。
結果は歴然としていた。1回目は投与2日後でメトトレキサートの血中濃度は1. 21、4日後でも0.13と規定値である0.1を超えていたのに対し、2回目は投与2日後には0.61と0.1を下回った。おかげで面倒な尿検査も予定通り終了した。
1回目の時に現れた副作用は口内炎と喉の痛みだった。これに関しては量を半分にした2回目でも多少あった。だが、アズノールうがい液で1日4回(毎食後と就寝前)うがいをすることで、悪化せず数日で治った。
2クール目は24日間の入院
入院するとまず気になるのが、いつ退院できるか、ということだ。1クール目は23日間だった。予定より退院が数日延びた。これは退院前に40℃を超える熱が続いたためだ。何かに感染した様子はなく、白血球が回復する際の反応ではないか、ということだった。
今回も熱が出るのだろうか。
それだけは避けたい。退院が延びる。
今回は2回も抗がん剤を投与するのだ。ただでさえ1か月は入院だと言われて憂鬱なのに、熱が出て退院が延びたらショックが大き過ぎる。
戦々恐々としていたが、それは取り越し苦労に終わった。
1回目の投与後、一番低かった時で白血球の値は4,060と基準値内だった。だからかはわからないが、熱が出ることはなかった。そして体調が安定したまま2回目の投与。2回目の最低値も3,060とわずかに下限値を下回った程度で、2日後には4,410まで回復した。熱も出ていない。
「そろそろ退院できそうです。今週末はどうですか。」
3週目のある朝、医師がいつものように病室にやってきて、血液検査の結果を説明しながらそう聞いてきた。
思ったより早い。私ははやる気持ちを抑えながら、「土曜日でお願いします。」と答えた。土曜日なら彼氏さんにお迎えを頼める。
1か月は入院しないといけないと覚悟していたのだ。それが24日間に短縮された。この差は大きい。
「退院前日にマルクと髄注だけやりますね。」
と付け加えると医師は病室から出て行った。
そうだ、マルクは避けて通れない。退院前の儀式のようなものだ。退院が決まったのはうれしかったが、その前に恐ろしいマルクがあるかと思うと気が滅入る。
今回は痛いのか、痛くないのか。
| 入院時 | 1回目投与 4日後 | 2回目投与 5日後 | 退院前日 | 基準値 |
白血球 | 10,420 | 4,060 | 3,060 | 4,410 | 3,300~8,600 |
赤血球 | 272万 | 267万 | 265万 | 263万 | 386万~492万 |
血小板 | 99万 | 57万6,000 | 19万3,000 | 17万2,000 | 15万8,000~34万8,000 |
AST | 23 | 66 | 19 | 18 | 13~30 |
ALT | 33 | 85 | 29 | 25 | 7~23 |
LD | 352 | 259 | 179 | 173 | 124~222 |
尿素窒素 | 11.0 | 14.8 | 14.0 | 14.3 | 8~20 |
血清クレアチニン | 0.75 | 0.78 | 0.80 | 0.82 | 0.46~0.79 |
入院中の過ごし方
入院は今回で3回目だ。
体調が最悪の状態で入院した1回目。発熱が続き、食欲もない。寝たきりが続き筋力も体力も落ちた。リハビリや電話をしに行く時以外は寝て過ごした。
2回目の入院。前半は体調が良かったが、後半は40℃の高熱が続き、1週間ほど寝たきりになった。ぼーっと天井を見たり、うたた寝をしたりしているうちに1日が過ぎた。
今回の入院は今までで一番体調がいい。全身の関節の痛みは良くなったり悪くなったりしていたが、起きていることに苦痛は感じなかった。
「なるべく起きていた方がいいですよ。そういう人のほうが元気になるのも早いですよ。」
ある日、リハビリの先生からそう言われた。
体調はいいのに1日の大半を寝て過ごしていた私はその言葉にドキッとした。読書をするときも横になっていたのだ。堕落しきっている。
「座っているだけでも体力はつくからね。」
その日から日中はなるべく横にならないようにした。座って読書をしたり、リハビリの時間以外も廊下を歩いたりした。思った以上に体調は良かった。日中、全く横にならなくても大丈夫な時もある。
よし、あとは退院を待つだけだ。
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