入院していた時より動けない
骨髄移植が終わり、長かった入院生活から解放された。今後は通院しながら療養生活を送る。
当分仕事はしないつもりだ。いや、この状態ではやりたくてもできないというのが正直なところだ。
なにせ、少し動いただけで息が弾み、立っていられない。病院では立って何か家事をするということはないので一概に言えないが、入院していた時より今のほうが倦怠感が酷いような気がする。
食事量はどうだろう。
退院の条件が食べられるようになることだったため、無理やり食べていた。そんな状態だったのだから、退院して急に食欲が増加するなどということはない。今も食べる量は非常に少ない。
一番食べやすいのは意外にもカレーライスで、普段の3倍程度の量を完食できる。これは入院中に発見したことで、カレールーと一緒にご飯がどさくさ紛れに喉を通っていくのではないかと思っている。
このような状態は退院して1週間経っても変わらない。
彼のために夕飯の準備をするのだが、ずっと立っていることができず、デスク用の大きいチェアを無理やりカウンターキッチンに押し込んで座りながら作っている。
洗濯を干すときも座りながら衣類をハンガーに掛け、余力があればそれをベランダに持っていくこともあるが、しんどい時はそのまま部屋干しだ。
買い物は1人では行けない。母親に来てもらい、一緒に出掛ける。スーパーでは当然カートが必要だ。重いからという理由のほかに、店内を1周するのにカートに身体を預けないと歩けないのだ。次第に腰が曲がっていき、カートがあっても歩くのがしんどくなる。
駐車場は身障者用を使わせてもらっている。1メートルでも、何なら1センチでも歩く距離は短い方が良い。それ用のステッカーを貼っているわけではないが、ヨロヨロと歩く私の無残な姿を見れば誰も文句を言わないだろう。
シャワーは彼が帰宅する前に浴びている。夕飯を食べて、さあ、順番にシャワーを浴びましょう、となってもしんどくて入れない可能性がある。自分のタイミングで、なんとか身体がもちそうな時を見計らってシャワーを浴びなければならない。
これって、以前にも経験したことがあるような。
そうだ、白血病を発症したときとそっくりだ。
あの時も倦怠感が酷くて5秒と立っていることができなかった。違うのは熱や関節の痛みがないことだろうか。
いや、待てよ。
あの時は食欲は旺盛だったから、今のこの状態とはやはり違うのか。
いろいろと考えをめぐらした。
直近の骨髄検査でも退院後の血液検査でも再発は見られず、その他の数値も異常はなかった。医師も退院してすぐだからこのまま様子を見ましょうという。
あまり深刻に考えない方がいいのかな。
それにしてももどかしい。
せっかく退院できたのにほとんどの時間をベッド上で過ごしている。
来週の今頃はもう少し元気になっているのだろうか。
寒くて暑い夜
退院したのは7月の上旬。梅雨明けはまだだが外は真夏の様相を呈している。
去年の秋に入院してから何度か仮退院はしたがその期間は短く、ほとんど外出していないため、暑さ寒さとは無縁だった。そんな私がこの炎天下のもとに晒されたら一発で体調が悪くなるだろう。
昼間は当然、夜中もエアコンはつけっ放しだ。
エアコンの効いた部屋は快適といえば快適。ただ、頭が寒い。髪の毛がほとんどないからだ。脱毛して初めて髪の毛のありがたみを知った。髪の毛は防寒に一役買っているのだ。そういうわけで、24時間ニットの帽子をかぶっている。
もうひとつ、妙な感覚がある。夜ベッドに入ると肌がさわさわし出すのだ。そして震えるほど寒さを感じる。エアコンを切ると暑くて寝られないため、夏用の掛布団を首から足元まですっぽりかぶり暖を取る。部屋を冷やし過ぎなのかと思ったりもしたが、隣で寝ている彼氏さんは寒さなど微塵も感じていない様子でスヤスヤと寝息をたてている。
やはり私だけが寒いのだ。
そうやって私はここ最近、毎晩寒さに耐えながら眠りについている。
そして、眠りについてから数時間経つと今度は暑さで目が覚める。エアコンは付いたままだから室温は変わっていないはずだ。それなのに全身汗だくで、気づけばあんなにピッタリ体に巻き付けていた掛布団を蹴散らかしている。
寒かったり暑かったり。体温調整の機能が壊れているのだろうか。
退院はできたけど、今のところ辛いことの方が多い。
元気な自分を想像できない。
まだまだ試練は続くのだろう。
※血液検査の結果※
| 退院前日 | 退院 1週間後 | 基準値 |
白血球 | 4,030 | 5,770 | 3,300~8,600 |
赤血球 | 243万 | 535万 | 386万~492万 |
ヘモグロビン | 7.4 | 10.9 | 11.6~14.8 |
血小板 | 6万 | 9万 | 15万8,000~34万8,000 |
網赤血球 | 2.4 | 1.08 | 0.3~1.1% |
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