2023年8月 退院後の生活【再入院】

闘病記【退院後の生活】

1か月ぶりの入院

骨髄移植が終わり、当初予定していたよりも早く退院できた。もう入院する必要はない。食べたい物を食べ、体力が戻ればどこか遊びに行こう。

私は希望に満ち溢れていた。

でもどうだろう。

退院して1週間で明るい未来に陰りが見えてきた。

食べられない、動けないという状態に陥ったのだ。数値は悪くなかった。よって急性GCHDというわけではない。でもだめなのだ。どんどん悪化していった。

日に日に身体は弱り、7月の末にはまったく外出ができなくなった。家の中の数メートルの移動さえ苦痛を感じる倦怠感に悩まされた。食事らしい食事は摂れず、ゼリーや野菜ジュースで口の中を潤す程度のエネルギーで生命を維持していた。

そして退院して1か月後の受診でついに再入院することが決まった。

外来受診さえままならない状況だったのだから、当然と言えば当然だ。移動は車いすだったし、待合室で座っていることもできず、ベッドで横になっていた。

私は素直に入院を受け入れた。

もう限界だったのだ。

このままでは衰弱して、抵抗力もなくなって何かに感染し重篤な結果を招きかねない。

彼氏さんも賛成だった。退院したときに、もう入院しないでね、ずっと一緒だよ、と言っていたが、さすがに弱っていく私の姿を見て、危機感を抱いたのだろう。

絶対良くなって、また2人で楽しい日々を過ごそう。

入院の前日、そうやって励まし合った。

そうだ、これは明るい未来のための、ちょっとした寄り道だ。

思ったり悲観的になることはなく、入院当日を迎えた。

1か月ぶりに入院の準備をした。もう入院することはないと思い、不要なものは実家に持って行ってしまったので、とりあえず必要最低限の荷物だけを準備した。

一般的に1か月ぶりというのは久しぶりではないかもしれないが、随分時間が経ったように感じる。入院の準備をしながら振り返ると、退院したあの日がなぜか、とても、はるか昔のことのように思えた。

私はまたあそこに行くんだ。

なんだか懐かしい。

お世話になった看護師さんたちにまた会えるのはちょっと楽しみでもあった。

ステロイドと栄養の点滴

病院へ着いた後はいつも通りの流れで検査と診察を受け、病棟へ上がった。

1か月前と何ら変わりなく、ここにはここの日常が流れている。

古巣に戻ってきたという感覚と、異空間に足を踏み入れたような落ち着かない感覚が混在していた。

ナースステーションで受付を済ませていると看護師に声をかけられた。

「またよろしくお願いします。」

とはにかみながらあいさつをした。はにかんだ理由はちょっとばつが悪いと思ったからだ。退院の時、みんなで記念撮影をし、メッセージカードまでもらった。そんな大々的に退院をお祝いしてもらったのにわずか1か月で舞い戻ってきたのだから、やはりちょっと恥ずかしいという気持ちになる。

部屋は個室にした。個室なら消灯後も部屋の中で電話ができる。帰りが遅くなる彼氏さんと話そうと思うとやはり個室でないと無理だ。1日7,000円の差額ベッド代はかかるが、今回は長い入院にならないだろうと予測し個室を希望した。

部屋に入ると荷物を広げる前に部屋着に着替えてベッドで横になった。車いすでの移動とはいえ座っているだけでもかなりの疲労を感じる。

しばらくすると看護師がバイタル測定に来た。

再会もこんな形でなければもっと嬉しかったのに。そう思いながら退院してからのことを看護師に順を追って説明した。

「退院してすぐに戻ってくる人もけっこういますよ。大丈夫。」

そういって看護師は私を励まし、にっこり笑った。

ここの看護師はみんな本当に優しい。そしていつも明るい。だから辛い時も彼らと話していると大丈夫だと思えてくる。

看護師が退室してすぐに別の看護師が入ってきた。

手には点滴用のパックを二つ持っている。

早速今日から治療に入るというわけだ。明らかな急性GVHDはないが、ステロイドを投与するとのことだ。もう1つは栄養の点滴。食べられないから当然だ。

「ステロイドは万能薬ですからね。」

といいながら看護師は点滴をつないだ。

万能薬か。これ一つで今の症状が改善されたら本当に魔法のような薬だな。

ステロイドは今までの治療でも使われている。一番最近使ったのは血小板の輸血の時だ。アレルギー反応で身体にじんましんが現れた。ステロイドを投与したらあっという間にじんまんしんがなくなったのを鮮明に覚えている。即効性がある。すごいな、とその効力を実感した。

今回もこのステロイドのお世話になるのか。

効いてくれ。

私を元気にしてくれ。

そして早く退院したい。

横になりながらそんなことを考えた。入院したばかりなのに。

やっぱり自宅が一番だ。

※血液検査の結果※

入院当日基準値
AST1813~30
ALT147~23
LD199124~222
白血球4,8503,300~8,600
赤血球257万386万~492万
ヘモグロビン8.211.6~14.8
血小板5万15万8,000~34万8,000
網赤血球0.770.3~1.1%
数値は特に問題ない

コメント

タイトルとURLをコピーしました