2023年8月 退院後の生活【再入院・動けるようになる】

闘病記【退院後の生活】

ステロイド最強です

再入院したその日にステロイドの投与が開始された。栄養の点滴も入れられた。

今回の入院でやれることはおそらくこれくらいだろう。

念のため胃カメラをやったが、特に問題はなかったからだ。他に急性GVHDと呼べるような症状もない。

ステロイドだけでどこまで回復するのだろうか。

看護師が万能薬だと言っていたが、それだけで食欲不振と倦怠感がすっかり治るなんて素人の私には信じがたいことだ。

入院当日、そして翌日は特に何も変わらなかった。食欲が戻るわけでもなく、ただ点滴をしながら横になっていただけだ。

このまま何も起きないのではないかと思っていたのだが、その時は突然やってきた。

体の変化に気づいたのは入院して3日ぐらい経ったころだ。

動くのが楽だと気づいた。

入院当日にリハビリの先生に頼んで馬蹄型の歩行器を借り、病棟内はそれで移動していたのだが、歩行器にあまり体重をかけなくても歩けるようになっていたのだ。

これはもしや独歩でいけるのでは。

そう思い、歩行器なしで試してみると、1周100メートルの廊下を自分の脚だけで歩くことができた。

数日前までしんどくて数メートルも歩けなかったのに。

もしかして、ステロイドのおかげなのか。

それ以外に考えられない。

やはり万能薬だったのか。

歩けるとわかった私は、少し休憩をしてまた廊下に出た。歩ける。力強い歩みではないが、背筋をしっかりと伸ばした姿勢で手を振って歩ける。

嬉しくてしょうがなかった。

歩けるということがこんなにも人を幸せにするのか。

この1か月の苦悩はなんだったのかというくらい身体が劇的に楽になった。こんなんだったらもっと早く入院すればよかった。

それにしてもだ。

ステロイドはすごい。

食欲も戻る

最初の変化は倦怠感がなくなり動けるようになったことだった。

その一歩はとても大きかった。

もう一つの問題は食欲不振。これに関しては少し遅れて変化が現れた。動けるようになってもなかなか食べられず苦戦を強いられていたのだが、5日目くらいから少しずつ食事量が増えていった。

そうなると病院の給食だけでは物足りなくなり、差し入れをお願いするまでになった。

彼氏さんにはたこ焼きを、同僚には甘いお菓子を頼んだ。

彼氏さんが来たのは入院してから1週間くらい経ったころで、体の動きも随分機敏になり、ベッドから起き上がる時には腹筋の力だけでさっと身体を起こすことができた。自分でもびっくりしたが、彼氏さんはもっと驚き目をまるくしていた。しばらく元気のない私しか見ていなかったのだから当然だろう。

「すごい、そんなことできるんだ。」

私以上に喜んでくれた。

そして差し入れのたこ焼きをたいらげた私を見て涙を流さんばかりに嬉しそうな顔をしていた。

やった!食べられた。

1週間前の私なら1個食べられたかどうか。

ステロイドの何がどう作用したのかは私にはわからない。でも、錆びきった身体にオイルが行き渡り、今やスムーズに動いているのはまぎれもない事実だ。

もう退院してもいいんじゃないか。

入院して1週間でそう自信を持って言えるほど回復したのだ。

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