指のこわばりと関節痛
8月の再入院を機に私の体調は回復へと転じ、9月、10月は穏やかな日々が続いた。
ひとつ荒波が立ったのは結婚に対して彼氏さんのお義父さんが反対をしたことぐらいだ。それも時間の経過とともにうやむやになり、気づけば彼の実家に出入りし、12月に執り行う法事には来てくれるのかとか、いつ私の親にあいさつに行こうかなどという話も出てきた。
聞けば妹さんが旦那さんと同棲するときも結婚したいと言った時も反対したらしい。とりあえず一度は反対する人なんだと。
私の場合、彼よりひと回り以上年上で、白血病などという厄介な病気を患っている。親御さんも孫の顔を見たいという気持ちがあるだろう。私は年齢もさることながら骨髄移植の前処置により閉経をした。100パーセント子供を持つことはない。反対されて当然だと思っていたが、妹さんの話を聞いて少しほっとした。そしてその言葉通り、一度反対はされたが、それっきりで、1か月後には私を家族として迎え入れてくれた。
そんなわけで、現在病気以外のことで気を揉むようなことは何もない。
受診は10月から3週間に一度になった。状態が安定している証拠だ。
10月の受診の時は掻痒感が酷く、飲み薬と塗り薬を処方してもらった。今は薬を飲まなくても痒くならない。食欲も十分あるし、倦怠感はすっかりなくなった。
11月の上旬の受診でステロイドがさらに減量された。5㎎から3㎎に減ったのだ。減量することで倦怠感や食欲不振の症状が出るかもしれないと言われたが、そういったことはまったくない。
そして11月下旬の受診でさらに2㎎になった。免疫抑制剤も1日3回から2回になるなど、順調に減薬できている。
ただひとつ気になる症状が出てきた。
指関節のこわばりと痛みだ。ステロイドの量が減ってきたからだろう。特に就寝後が酷い。指を曲げようと思ってもこわばってうまくいかない。無理に曲げようものなら痛みで目が覚める。寝起きはゆっくりと指を折り曲げ慣らしていく。それでも特に小指は日中もずっと痛くて途中までしか曲げることができない。
リウマチのような症状だ。
医師にもそれは伝えた。骨髄移植後にリウマチになり、そのまま指関節が拘縮してしまう人もいるという。ただ、私の場合移植前にも関節痛の症状が何度もあったため、それとは違うかもしれない、様子を見ましょうということで終わった。
きっとステロイドのせいだ。医師はそれとは言わないが、私の中ではその説が濃厚だ。減薬しているのだから、きっと副腎皮質ホルモンが足りなくなっているのだ。
これは耐えるしかない。
しばらくしたらステロイドは中止になるだろう。そして副腎が自分でホルモンを作り出し体内に行き渡れば関節痛やこわばりも改善されるはずだ。
そうなるにはあと半年くらいかかるだろうか。
特効薬はその効果と副作用が表裏一体だな。
マルクの結果
11月上旬の受診で骨髄検査を受けた。移植して半年が経ったためだ。
あれからもう半年か。
前半は食べられず動けずで大変な思いをしたが、後半は順調そのもの。再発することなく私は今も生きている。これがどれほど素晴らしいことか。明日が必ずあると思って疑いもせず毎日をただ何となく生きていた1年前とは大違いだ。今は今日一日を生き抜いたというだけでも儲けものだと思っている。
がん細胞が本当にゼロなのかを知るには血液検査だけはわからない。骨髄液を取ってよくよく見たらがん細胞がいたということもある。なので再発していないだろうと思っていても、骨髄検査の結果を聞くのは少々勇気がいるものだ。
受診の前に内科の処置室というところでマルクを受けた。
結果は次の受診時に聞いた。
再発はしていない。
そして99.4%がXYに変わっていた。XXの割合は0.4%で残りの0.2%は不明という結果だった。ちなみに移植後2か月となる7月下旬の時はXYが99%だった。いつか100%、ドナー由来の血球に置き換わるのだろうか。
いずれにしても、このパーセンテージならまったく問題ないということだ。
一昔前なら私の病気、フィラデルフィア染色体陽性白血病は人を確実に死に至らしめる、いわゆる不治の病だった。
それが飲み薬の開発、これがバカ高いのだが、それのおかげでがん細胞をやっつけることができるようになった。でもそれだけでは再発してしまう。骨髄移植が必須だ。ハイリスクハイリターンとの説明を受けた時は多少恐怖心があったが、なんとかそれも乗り越えここまで来れた。
そして無事入籍もして、私は第二の人生をスタートさせた。
あらためてドナーさんに感謝したい。
あなたがいなかったら私はいない。
※血液検査の結果※
| 11月上旬 | 11月下旬 | 基準値 |
AST | 26 | 30 | 13~30 |
ALT | 45 | 43 | 7~23 |
LD | 204 | 223 | 124~222 |
LDLコレステロール | 148 | ー | 65~163 |
白血球 | 7,370 | 8,290 | 3,300~8,600 |
赤血球 | 307万 | 291万 | 386万~492万 |
ヘモグロビン | 10.7 | 9.9 | 11.6~14.8 |
血小板 | 12万5,000 | 12万2,000 | 15万8,000~34万8,000 |
網赤血球 | 1.3 | 1.27 | 0.3~1.1% |
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