2023年4月 地固め療法・4クール目【キロサイド】

闘病記【発症~治療】

キロサイド投与

12日間の仮退院はあっという間に終わった。毎回思うが、楽しい時間は必要以上に早く過ぎる。

1月から始まった地固め療法も今回で4クール目だ。入院初日の流れは毎回同じだ。外来受診をしてから病棟へ上がる。バイタル測定が終わると次は薬剤師から抗がん剤治療について説明を受ける。あとはゆっくり過ごすだけだ。

4クール目は「キロサイド」という抗がん剤が投与される。どこかで聞き覚えのある名前だと思って調べたら、やはりそうだ、1クール目もキロサイドだった。

投与期間は1クール目と同じ4日間。粘膜炎防止のためステロイドの点眼をするのも同じだ。

1クール目で記憶があるのは、白血球が戻ってきた時に40度を超える熱が出たことだ。確か4、5日発熱が続いた。その間はほぼ寝たきりで、電話をしに行くこともできなかったのを覚えている。退院期間も数日延びてしまった。

何事もなければ3週間程度で退院できるはずだ。

私は熱が出ないことを切に願った。

※地固め療法 4クール目の投与内容※

薬剤投与方法投与時間day1day2day3day4
グラニセトロン
デカドロン
 
6.6mg
点滴静注15分
キロサイド
生理食塩水
2000mg/m2
点滴静注3時間
アイクルシグ15mg内服朝食後

フルーツサンドイッチに舌鼓を打つ

抗がん剤が始まった。4回目、しかも1回目と同じ抗がん剤ということで緊張感はまったくなかった。

1日目が終了した時に彼氏さんから連絡が入った。

すごくおいしそうなフルーツサンドイッチが売っていたから買って差し入れしようか、という内容だった。

送られてきたお店のホームページを見ると、おいしそうなマンゴーのサンドイッチの写真が目に飛び込んできた。大好きなマンゴー、しかも宮崎産だ。

宮崎産マンゴーサンドイッチ

食べたい。

食べてはいけない食べ物の中に生クリームがあったような気がしたが、私の中に我慢をするという選択肢はなかった。期間限定で販売されている。今食べないでいつ食べるというのだ。

「先生、フルーツサンドイッチを食べたいんですが…」

さすがに医師に黙って食べるわけにはいかない。ちょうど先生が病室に来たためダメもとで聞いてみた。

「まだ白血球が下がっていないので、今日明日くらいならいいですよ。」

この4月から主治医が変わったため、性格などはまだ掴めていなかったが、どうやら新しい先生は「融通が利く」ようだ。前の先生なら許可してくれなかっただろう。自分のことを慎重な方だと言っていたからだ。

食べてはいけないものはたくさんある。生クリームもそのひとつだ。だが今は抗がん剤を投与し始めたばかりで血球の値は安定している。つまり、食べても感染しにくいということだ。もちろん、絶対に大丈夫だとは言い切れない。

医師の見解はこうだ。

生クリームを食べた数日後に体調を崩すかもしれない。原因は生クリームとは限らない。この時、「ああ、やっぱり生クリームを食べなければよかった」と後悔するようなら最初から食べないほうがいい。気にしないなら「食べてもいいですよ」ということだ。

結局のところ、自己責任で食べてください、ということになる。

一瞬迷ったが、本当に食べないほうがいい物ならさすがに許可しないだろうと思い、さっそく彼氏さんに差し入れしてもらうようお願いした。

彼氏さんも善は急げ(善かはわからないが)とばかりにお店に急行し、マンゴーサンドイッチを買ってきてくれた。フルーツサンドイッチはその日のうちに食べた方がいい。一日経つとパンが少し硬くなる。私は三時のおやつに食べることにした。もちろん、コーヒーも淹れた。

ふわふわの食パンに甘い生クリーム、そして太陽をいっぱい浴びたであろう宮崎産のマンゴー。美味しさの極みだった。

あまりに美味しくて涙が出そうになった。

幸せだ。

美味しさの極み

手作り料理の差し入れ

4日間の抗がん剤が終わり、その後も経過は順調だ。食欲も十分にある。困ったことに食欲があると病院の給食が物足りないと感じる。

味の濃いものが食べたい。

はっきり言って病院生活は退屈だ。楽しみがないとやってられない。暇つぶしに読書をしたり、勉強をしたりしているが、幸せな気持ちにはならない。今私を幸せにできるのは美味しい食べ物なのだ。

上司の言葉を思い出した。

最近、料理にはまっているという。リクエストしてくれれば作って差し入れするよ、と入院前に言っていた。

社交辞令ではないかと思う前に上司に連絡していた。それほど濃い味付けの料理が食べたかったのだ。

上司は社交辞令のつもりは全くなかったようで、私のリクエストに快く応じてくれた。

それから数日後、手料理が届いた。人に食べさせるのは初めてだからと自信なさそうに言っていたが、袋から取り出して驚いた。

リクエストしたオムライスのほかにきんぴらごぼうも作ってくれた。そして割りばしにお手拭き、個包装のケチャップ、冷たいドリンクも入っている。さながらピクニックのようだ。

作ってすぐに届けてくれたのだろう。オムライスもきんぴらごぼうもまだ温かい。

私は手を合わせ、心の中で「いただきます」と言い、食べ始めた。

これこれ、この味付けだ。

普段の給食は残すことが多いが、ちょっと量が多いかなと思ったこのお弁当はペロッと食べてしまった。

すぐに上司にお礼を言い、図々しいと思いつつも、次の手料理をリクエストした。ナポリタンスパゲッティだ。

上司以外にもお菓子を差し入れしてくれたり、心配してラインをくれる同僚がいる。私はいろいろな人に助けられて生きているんだと実感した。全ての出会いに感謝しないといけないな。

手作り料理の差し入れ。オムライスときんぴらごぼう

副作用は特にない。このままいけば3週間で退院できる。ちょうどゴールデンウィークだ。彼氏さんも休み。一緒に休みを過ごせるのが嬉しい。

退院が待ち遠しくてしょうがない。

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