熱はあるが・・・
昨夜は熱が上がったり下がったりしたため不安な夜を過ごした。今朝も３７度台の熱がある。
９時ごろ、医師が病室に入ってきた。
熱があるため医師も予定通り放射線をやるかどうか迷っているとのことだった。
放射線は午前と午後の１日２回。それを３日間続ける。医師によれば、今日の午前の照射を飛ばして午後から始めてもよいし、なんなら明日と明後日の２日間でもよいとのことだ。それほど効果に差はないという。
効果に差がないなら明日からでもいいのでは、と思う反面、やはり規定通りの放射線を照射した方が確実なのではないかという気持ちもあった。
決めかねている医師。
判断を待つ私。
結構な時間、と言っても時間にすると数分だが、「どうしようかな」と悩んでいた医師は、意を決して「やっちゃおう」と一言。
決まりだ。
身体はしんどかったが、それよりも予定通り放射線ができることにホッとした。
初めての放射線照射
看護師が病室に来た。
「放射線に呼ばれました。吐き気止めとステロイドを入れますね。」
ついに来た。身体に緊張が走る。
そしてすぐに看護助手が車いすを持って入ってきた。行き帰りは車いすということだ。
起き上がる時に首に痛みが走る。昨日入れたCVのせいだ。慣れるまでに数日かかるという。まずベッドをギャッチアップしてある程度の角度まで来たら横を向く。そして先に足を降ろしてから最後に肘や手を使って身体をゆっくり起こす。起きるだけで一苦労だ。
放射線科に着くと、待っていました、という感じで職員が出迎えてくれた。私が寝台に横になると、職員は準備を始めた。
胸やお腹を保護するためのなまりの板や目を保護するための装置が設置され、全体の位置を入念にチェックした後、丸太のようなクッションを胸の上で抱えるよう指示すると全員隣の部屋に移動した。ガラス越しにこちらを見ている。
「では始めます。」
部屋の明かりが落とされ、寝台の隣にある機械から小さな音がし出した。
室内には洋楽が流れている。音楽は希望のものを流せると言われたがＣＤなど持ち合わせていない。適当に流してもらうことにした。
それから１５分程度、「ジーーーー」という微音とともに放射線が照射された。聞いていた通り、何の感覚もない。ただ目を閉じて寝ていただけだ。
その後、向きを逆にして、反対側に放射線があてられた。
入室から退室までおよそ４５分。初めての放射線照射が終わった。
今のところ、特に身体に違和感はない。
２回目の放射線照射
午後から２回目の放射線を受けた。やることは同じだ。１回目と同じでまだ副作用はない。
これは余裕ではないか。
気持ちに余裕が出てきた私は読書をしたり、YouTubeを見たりしていた。
「トントン」
扉をノックする音が聞こえた。看護師ならそのあとすぐに入ってくるが、変な間があった。誰だろう、と思って入り口付近を覗くと、なんと母親が立っていた。
２日前から面会は禁止になっている。監視の目をくぐり抜けて入ってきたのかと一瞬疑ったが、そんなことをする母親ではない。聞くと、顔を見る程度なら面会してもよいと言われたとのことだった。
嬉しかった。
孤独な闘いだと思っていたからだ。少しでも家族の顔を見られるのは励みになる。
母親は５分程度話をし、荷物を置いて帰っていった。
夜になり、そろそろ寝ようと思っていた時にふと気づいた。
あれ、耳の下あたりが痛い？
多少熱を持っているようにも感じた。
これって、放射線のせいだよな。
耳の下を押さえて再度確認をした。やはり痛い。
放射線照射の時は両あごに冷えピタを貼っていた。こうなることを予防するためだったのだが、あまり効果がないとも言われていた。案の定だ。
看護師に相談をすると、冷えピタを貼ることを勧められた。冷蔵庫に入れてあった冷えピタは冷たくて気持ちよかった。
これ以上炎症がひどくならないことを願った。
放射線はあと４回。どんな副作用が出てくるのだろうか。
考えてもしょうがない。
私は目を閉じた。昨晩、発熱で熟睡できなかったこともあり、あっという間に夢の中へ。朝までぐっすり眠った。
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