2023年7月 退院後の生活【体重が減っていく】

闘病記【退院後の生活】

終わりの見えない闘い

前回の受診で今の状況、つまり食べられない動けないというのが続くなら入院して治療するという手もあるよ、と告げられた。

確かに家事もできず、ほぼ寝たきりなのだから、いっそ入院して治してもらった方が手っ取り早いとは思う。

でも踏ん切りがつかない。もう少ししたら良くなるのではないかと期待している自分がいる。

どこかに突破口はないものかと思案する。

食べないから動けないのか、動かないから食べられないのか。卵が先か鶏が先か、と同じ状況だ。そこに答えがあるのか甚だ疑問だが、とにかくこのままでは本当に入院になってしまう。

いろいろ考えた結果、散歩をするという結論に至った。

かなり無謀なことだとはわかっている。今この身体のどこに散歩をする体力と気力があるのだろう。立っているのだってままならないのに。それでも何かをせずにはいられない。わずかな距離でもいい。1日中ベッドの上で、ただ天井を眺めている毎日でいいはずはない。

もちろん支えなしで歩くのは無理だが、登山用のトレッキングポールを代用すれば何とか歩けるのではないだろうか。

思い立ったその日からさっそく実行に移した。

目的地を近所のコンビニに設定した。距離にして220メートル。そのコンビニにはイートインコーナーがあるので、休憩することもできる。

夕方日が沈むのを待ってアパートを出た。

両手にトレッキングポールを持ち、慎重に歩みを進める。けつまずいて体のバランスを崩したらそのまま転んでしまうだろう。踏ん張る力はないのだ。

220メートル。病棟の廊下ならおよそ2周という短い距離だ。退院前は休憩なしで余裕で歩けたが、どうだろう、この疲労感は。途中で休みたくてもそんな場所はない。しゃがんだら立ち上がれない。コンビニがはるか遠い場所にあるように感じた。

やっとの思いでコンビニについた私は、アイスコーヒーを買ってイートインコーナーに倒れ込む勢いで椅子に腰かけた。

満身創痍といった感じでテーブルにひれ伏した。

久しぶりだからこんなにも疲れるのか、そもそも歩ける状態ではなのか。

私はしばらくそこから動けず、コーヒーをちびちび飲みながら体力の回復を待った。

来てしまった以上、また歩いて帰るしかない。

立ち上がるのにかなりの覚悟が必要だったが、なんとかコンビニを出てさっき来た道をさっきより重い足取りで戻っていった。

あと少し、頑張れと自分を鼓舞しながら歩くのだが、何度も途中でくじけそうになる。偶然パトカーが通ってアパートまでこの身体を運んでくれないだろうかと妄想もした。

なんとか自宅にたどり着いた私は、靴を脱いでベッドに直行し倒れこんだ。息が弾む。

これは歩けたというのだろうかと自問自答する。

動いたら食べられるのではないかという説はあっさり否定された。

レトルトのお粥を温めてもらったが、数口しか食べられなかった。食べないと彼氏さんが心配するのはわかっているが、それ以上飲み込めないのだ。悲しくなるくらい食べられない。

それでもあきらめの悪い私は、次の日も散歩に行った。

また辛い思いをするのを承知の上で出かけたのは、やはり、入院したくないという気持ちが強いからだろう。

全体重をトレッキングポールに預けるような形で歩いているため、腕も疲れてくる。本当にしんどい。それでもこの辛さを乗り越えれば動けるようになるのではないかと期待し、毎日歩いた。

でも、やっぱりおかしい。

どれだけ頑張っても良くならない。

それどころか、悪くなっているような気がする。

つい1週間前、45㎏台だった体重は2㎏減り、小学生以来だろうか、43㎏台まで落ち込んだ。病気になる前と比べると10㎏近く痩せてしまった。当たり前だ、食べていないのだから。計算すると1日の摂取カロリーは500キロカロリーに満たない。

このままでいいはずがない。

先生に聞いてみよう。

口当たりの良いものとは・・・

今は1週間に1回受診がある。

先週の診察で、医師は、良くなるか悪くなるかは人それぞれだけどまだ若いから大丈夫でしょう、と言った。私はその言葉を信じたいと思い、自分でできることは頑張ってやったつもりだ。

でも、1週間経っても1㎜も良くなっていない。体重はどんどん減っていくし、散歩もできなくなってきた。

病院でも建物の一番奥にある内科まで歩いていくことができず、玄関で車いすを借りた。高齢の父親に車いすを押してもらう自分の姿はなんと無様なことか。普通は逆だろうに。

どんなにしんどくても待ち時間は変わらない。車いすを降りて長椅子に座っていた私は、最終的に3人分のスペースを使って横になり、診察を待った。

座っていることもままならない。やはり再入院だろうか。

病院に来てから2時間。やっと番号が呼ばれ診察室に入った。医師に現状を聞かれたため、食べられないことや車いすじゃないとここまで来れないことを伝えた。

血液検査の結果は前回同様、特に問題はありませんという説明だった。食べられないことに関しては、口当たりの良いものを食べてくださいという助言で終わった。

現状はもっと深刻な気はしたのだが、検査結果に異常がないということは急性GVHDではないということで、入院する必要はないと判断したのだろう。

帰りはどこにも寄ることなくアパートに送ってもらった。支えがあっても歩けないのだからどこにも寄れないというのが正直なところだ。

次の診察は1週間後だ。

それまでもつだろうか。

※血液検査の結果※

退院
1週間後
退院
4週間後
基準値
白血球5,77011,0793,300~8,600
赤血球535万330万386万~492万
ヘモグロビン10.910.511.6~14.8
血小板9万8万6,00015万8,000~34万8,000
網赤血球1.080.840.3~1.1%
血球の数値は問題なし

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