2022年11月4週目 寛解導入療法【確定診断】

闘病記【発症~治療】

ついに確定診断の時が来た。

入院5日目

入院初日にこの世のものとは思えない痛みを経験した「骨髄穿刺」(通称マルク)。この骨髄検査により私の病名が正式に決まる。それは「名前」だけの問題ではない。今後骨髄移植をすべきかどうか、それも判明するのだ。

入院5日目の朝、先生から告げられた。「今日からスプリセルという薬を開始しますね。」と。そして聞かれた。「ご兄弟は3人みえましたよね。」

「はい。1人は海外にいますが、ほかの2人は比較的近くにいます。」私は兄弟について簡単に説明した。先生はそれを聞くと、「わかりました。」とだけ言った。そして、今後の治療方針について説明をするため、キーパーソンとして申告している内縁の夫(彼氏さん)に病院に来てほしいというのだ。

先生は確定診断が出たとも何とも言わない。でも兄弟のことを聞くということは、骨髄移植が必要ということなのか。聞いたら答えてくれたかもしれない。でも私は聞かなかった。というより、聞けなかった。聞く勇気がなかったのだ。

ひとまず彼氏さんに連絡をした。確定診断が出ているのではないかと不安を隠しきれない様子の彼氏さん。私は、「もしかしたら確定診断のことじゃなくて、単なる経過報告かもしれないよ。」などと、勇気づけるように言ったが、それは自分に向けての発言でもあった。

この時点で、というかこの期に及んで、「白血病ではない可能性だってある。」などと期待していた。

ちなみ、この日から飲み始めた「スプリセル」という薬。これを飲み始めるということが何を意味するのか。調べればすぐわかることなのだが、私はそれをしなかった。「早く知りたい」という気持ちと、確定診断の結果を聞くまで待とうという気持ち、相反する二つの気持ちが交錯してた。

彼氏さんが病院に来たのはそれから3日後だった。

先生から彼氏さんへの説明は病棟の入り口に設置された簡易的な面談室で行われる。体調は最悪のままだったが、この機会を逃したら次いつ会えるかわからない。私は点滴スタンドを頼りに何とか面談室まで歩いていった。そこには1週間ぶりに見る彼の姿があった。

「久しぶり」

お互いにそう言った。

「体、大丈夫?」
不安そうに聞く彼氏さん。弱り切った、いかにも病人らしい私を見て驚いたのかもしれない。

すぐに先生がやってきた。テーブルに置かれた冊子。表紙には「急性リンパ性白血病」と書かれている。入院初日、私が見せられたのと同じパンフレットだ。先生はそれを1枚1枚めくりながら、主に彼氏さんに向かって白血病とはどんな病気なのかを説明した。

間違いなく私は「白血病」ということなのだろう。

そしてついに本題に入る。

私の病名は「フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」

「骨髄検査をした結果・・・」

ドキドキ。心臓の鼓動が早くなった。先生が次のページをめくる。

「こちらの染色体が見つかりました。」

そこには「フィラデルフィア染色体陽性ALL」(ALLとは急性リンパ性白血病のこと)と書かれていた。入院初日に受けた説明を思い出した。急性リンパ性白血病には2つのタイプがあると。一つはフィラデルフィア染色体陰性急性リンパ性白血病。もう一つはフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病だ。

先生が言う、「染色体が見つかった」というのは「陽性」だったということだ。

確率4分の1側だ。期待が外れた。

陽性だった場合、何年後か先の再発率を下げるために骨髄移植をしておいたほうがいい。確かそんなような説明を受けた。3日前、兄弟のことを聞かれたのはやはり骨髄移植を見据えてのことだったのだ。

私の病名は「フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」と確定した。

そして、今後の治療の流れと移植についての説明がなされた。

私は4人兄弟だ。兄弟の誰かがドナーになれるならそれに越したことはないそうだ。それにはまず、本人たちに意思確認をする必要がある。兄弟でもドナーになりたくないということは十分にある。同意が得られたら白血球の型が合うかどうかの検査をする。型が合わなければ骨髄バンクに登録し、ドナーを探すことになる。調整には数か月かかるとのことだ。そこまでを一気に説明された。最後に「何か質問はありませんか。」と聞かれたがなかなか思いつかないものである。

先生は退席し、二人で話す時間が少しだけ与えられた。

気持ちの整理がつかない。結果を聞くまでは、陰性でも陽性でもどちらでもいいと思っていた。でもいざ陽性とわかると急に不安になった。

「兄弟がダメだったどうしよう。」口からこぼれた。骨髄バンクでドナーが見つかるとは限らない。

彼を残して死ねない。まだまだ一緒にやりたいことがあるんだ。そう思うと悲しくなり、涙で視界がぼやた。

彼氏さんは私の手を握ってくれた。

「俺もドナーになれるんだよね。兄弟がダメなら俺の型を調べてもらおう。」

もちろん、彼氏さんと型が合う確率はとんでもなく低い。それでも私のためを思って言ってくれたのだ。それがうれしくて今度はうれし涙がこぼれた。

彼氏さんが帰るころには私の気持ちは前向きになっていた。

その夜彼氏さんから連絡がきた。

「帰ってきたらいろいろやろう。一緒にやりたいことがいっぱいあるからね。」

そうだ。一緒にやりたいことがたくさんある。まだまだこれからなんだ。

強く強くそう思った。

「彼を一人にはさせない。」

この夜私はそう誓った。

続きは次回のブログで

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