2023年2月 地固め療法・2クール目【入院初日】

闘病記【発症~治療】

地固め療法2クール目の入院

6日間という一時退院は思った以上に短く感じた。楽しい時間はあっという間に過ぎる。今日からまた病院という建物の中に閉じ込められるのだ。

入院も3回目になると慣れてくる。持ち込む荷物もすっきりとまとめられ無駄がない。多少重くなったのは暇つぶし用に購入した小説のせいだ。1クール目では退院前の1週間前に発熱し寝たきりに近かったが、それまでは抗がん剤の副作用もなく暇を持て余した。

2クール目の抗がん剤は1クール目とは違うものになる。今回も副作用がないとは限らないが、抗がん剤の投与が終わると何もやることがなく、時間が経つのがカメ並みに遅い。他の患者は何をして時間をつぶしているのか看護師に聞いてみたものの、興味が持てるものはなく、結局、読書という結論に達したのだ。

入院初日はまず血液検査や胸のレントゲン、心電図をとり、医師の診察を受ける。そして入退院センターで手続きをして病棟へ上がるのが流れだ。

一時退院中に悪化した関節痛について医師に報告をした。良くなる気配は全くない。抗がん剤の副作用なら薬で何とかならないものかと期待した。

「どうしてでしょうね・・・」

首をかしげる医師。

「抗がん剤の影響ではないのですか。」

「それはないですね。白血球がいっきに増えたので、そのせいかもしれません。」

医師は血液検査の結果を見せながら説明を続けた。

「白血球が1万を超えています。ただ、すぐに身体が、作りすぎた、と気づいて、白血球の数を減らしていくと思うので心配する必要はありません。」

まるで造血機能に意思があるような言い方だったのが妙におもしろかった。

そうか、白血球が急激に増えたのが原因なら、それが落ち着いてこれば関節の痛みも治まるということか。

あと少しの辛抱だ。私はほっとしながら退室し、入退院センターへ向かった。

※検査結果※

1クール目
退院時
2クール目
入院時
基準値
白血球6,12010,4203,300~8,600
赤血球259万272万386万~492万
血小板29万8,00099万15万8,000~34万8,000
AST382313~30
ALT51337~23
LD491352124~222
尿素窒素8.511.08~20
血清クレアチニン0.720.750.46~0.79

あごに冷えピタ、氷を食べながらの抗がん剤投与

「あ!○○さん(私の名前)よろしくね!後で病室に行きますね!」

病棟へ上がるとさっそく看護師に声をかけられた。私の担当看護師だ。

「戻ってきました。またよろしくお願いします。」

自分が発した「戻る」という言葉に違和感を感じないわけではない。ただ、今は病院にいる時間のほうが長い。自然と「戻る」という言葉が出た。

しばらくしてさきほどの看護師が病室にやってきた。バイタル測定と残薬の確認をしたら終了だ。入院初日は特にやることはない。

「氷と冷えピタ買ってきましたか。」

突拍子もないことを聞かれた。

「え??」

なんのことかさっぱり分からない。

「聞いてない?抗がん剤やっている時に使うんですよ。」

氷、冷えピタと抗がん剤がまったく結びつかない。それでも明日までに必要だと言われたら用意するしかない。看護助手に頼んで1階のコンビニで買ってきてもらった。

それからしばらくして薬剤師が入ってきた。

そうだそうだ。1クール目もそうだった。初日にやってきて抗がん剤の説明やスケジュール、副作用などについて説明をしてくれた。

今回投与される抗がん剤は「メソトレキサート」というものらしい。1クール目に投与された「キロサイド」は4日間だったが、このメソトレキサートはたったの1日。

もしや早く退院できるのでは!

期待で胸が膨らんだ。

が、渡されたスケジュール表を見て愕然とした。投与後2週間経つとまたメソトレキサートを投与すると記載されている。

2クール目は2サイクルあるという現実を突きつけられた。ということは早く退院できないどころか1クール目より入院期間が長くなるということだ。

何とも言えない絶望感。

「氷と冷えピタはありますか。」

薬剤師の話は続く。メソトレキサートの副作用として重度口内炎があるという説明を受けた。それの予防として、投与後30分は氷を舐め続け、あごには冷えピタを貼っておくというのだ。なんとも原始的な方法だ。

「不安なことがあればなんでもおっしゃってください。」

そう言うと薬剤師は退室していった。

※地固め療法 2クール目の投与内容※

薬剤投与方法投与時間2/102/112/242/25
グラニセトロン3mg静注数分
オンコビン1.3mg/m2静注ゆっくり
メソトレキサート
生理食塩水
200mg/m2
50ml
点滴静注30分
メソトレキサート
生理食塩水
1800g/m2
500ml
点滴静注23.5時間
ロイコボリン15mg/m2静注数分
オンコビンの副作用に便秘や痺れがある。メソトレキサートの副作用に口内炎がある。ロイコボリンはメソトレキサートの副作用を軽減する葉酸製剤であり、抗がん剤投与後36時間後から6時間おきに計8回投与する。

病室に一人残された私は横になってぼーっと天井を見ていた。メソトレキサートは初めてだが、1クール目のような緊張や不安は感じなかった。

そんなことよりも、入院期間が最低でも1か月になるということの方が私にとっては重要だった。

1分1秒でも早く退院したいのに。

気が滅入る。

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