2023年5月 骨髄移植・前処置【大量の抗がん剤投与】

闘病記【骨髄移植】

放射線照射開始から4日目

骨髄移植を受けるには自分の免疫をゼロにしないといけない。そのための処置を「前処置」と呼び、全身への放射線照射と大量の抗がん剤投与を受ける。

放射線照射は1日2回。それを3日間続けた。合計で12㏉という量の放射線が当てられた。当てている時は何の感覚もない。ただ音楽を聴きながら寝台に寝そべっているだけだ。

だが、副作用はすぐに現れた。倦怠感と食欲不振だ。温かい物は匂いがきつく食べられない。給食の内容も変更してもらった。

放射線照射が始まって4日目。この日は特に何も予定はなかった。放射線が終わったせいかだるさはあまりない。食欲は依然ないが、昼も夕も冷やしそうめんを半分以上食べられた。他にも高カロリーゼリーや果物、メイバランスのアイスクリームを口にすることができた。

とはいえ、1日に必要な摂取カロリーには到底及ばない。普通なら体重が減っていくはずだ。

これも副作用だろうか。50㎏なかった体重は放射線を始めてすぐに1㎏増えて51㎏となった。その後は利尿剤を投与してもなかなか減らない。4日目の朝には52.5㎏とさらに増加していた。顔や足はパッと見ただけでむくんでいるのがわかる。医師の指示で、52㎏以上の時は利尿剤を使うことになった。

食欲もなく倦怠感も残っているこの状態で何度もトイレに行くのは結構辛い。

明日、明後日は大量の抗がん剤が投与される。今日は休憩というわけだが、ゆったりと過ごす余裕はなかった。

※食事内容※

朝食:(給食欠食)パウチゼリー1個
昼食:冷やしそうめん半分、メイバランスのアイスクリーム(バニラ味)、キウイ6切れ
夕食:冷やしそうめん8割、高カロリーゼリー1個、桃の缶詰2切れ

大量の抗がん剤投与(1日目)

これまで4回抗がん剤治療を受けた。さほど副作用はなく、毎日暇だと思えるくらい体調も良かった。

今回はどうだろう。使う抗がん剤は3クール目と同じエンドキサンだ。あの時は医師から一番楽だと思いますと言われ、実際副作用はまったく出ず、2週間足らずで退院できた。

しかし、今回は「大量の」エンドキサンが投与される。心してかからないといけないだろう。

日付が変わった午前0時から飲水量のチェックが始まった。そして、午前10時からは2時間おきに尿のpH検査が追加された。当然夜中も2時間おきに起きて採尿しなければいけない。2クール目の時は6時間おきに尿検査をしていたが、その時ですら睡眠不足になった。今回も間違いなく生活のリズムが崩れるに違いない。

大量の抗がん剤は午前中に開始された。

両あごに冷えピタを貼り、氷を舐めながら投与を受けた。そして、抗がん剤投与は特に問題なく無事に終了した。

投与が終わると補液の量が増やされた。

あー、またトイレの回数が増えるじゃないかー

とうなだれたがしょうがない。抗がん剤の影響で夕方の尿の出が悪くなるそうだ。1日3.5リットルは出してほしいと言われた。

採尿の目的はpH検査のほか、血尿がないかを見るためでもある。ちなみに2クール目の時は一度だけpHが酸性だったため薬剤を投与されたのを覚えている。

夕方の尿検査。

血尿はない。ただ、pHは5と酸性。そして体重も54.5㎏と増えていた。

すぐに利尿剤であるラシックスとpH値を上げるメイロンが注入された。それにしても朝から2㎏も体重が増えていたのには驚いた。看護師に聞くと、身体がむくんでいるのは放射線の影響とのことだ。

※食事内容※

朝食:パウチタイプの野菜生活1個
昼食:冷やしそうめん、果物
夕食:高カロリーゼリー1個、果物(冷やし蕎麦は気持ち悪くて食べられない)

大量の抗がん剤投与(2日目)

夜間2時間おきの尿検査は思ったより大変ではなかった。夕方にメイロンを投与したからか、pHは8とアルカリ性だった。

ただ、体重は54.3㎏と減っていない。尿量は多いにもかかわらず一向に減る気配がない。また利尿剤が投与された。

とはいってもトイレの回数が増えるだけのことだ。

問題はなんといっても食欲不振だ。昨日の夕方から気持ち悪くなってきたのだが、目が覚めてもそれは変わっていなかった。吐くまではいかない。ただ、胸やけのような不快感が続いている。胃も痛い。そして気付けば下痢になっていた。

ただでさえ少なかった食事摂取量がさらに減り、最終的には果物しか食べられなくなった。

給食を出されても無理だ。食べられない。

私は明日からすべて欠食にしてもらうよう依頼した。

またコンビニの果物を差し入れしてもらおう。

※食事内容※

朝食:パウチゼリー半分
昼食:果物
夕食:果物

※血液検査の結果※

入院時骨髄移植前日基準値
白血球5,6904903,300~8,600
赤血球302万221万386万~492万
ヘモグロビン9.46.911.6~14.8
血小板35万1,00012万7,00015万8,000~34万8,000

前処置が終わり、飲水量のチェックや2時間おきの尿検査も今日のお昼で終了した。

とにもかくにもついにここまで来たという感じだ。

あとは明日の移植を待つだけとなった。

私は明日、生まれ変わる。新しい命をもらうのだ。

もちろん、まだ油断はできない。ドナーさんの気が変わるかもしれない。予期せぬ事態が起きるかもしれない。移送中に何かトラブルが発生するかもしれない。

そうだ。

この病室に無事骨髄液が運ばれ、この首のチューブにつながれて体内に入るその時まで安心はできない。

祈るような気持ちで静かに目を閉じた。

明日が私の2回目の誕生日となる事を信じて。

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