脱毛そして現在(※写真あり)
私が骨髄移植を受けたのは2023年5月下旬だ。
白血病と診断され入院したのが2022年11月下旬。治療を開始して半年で移植を受けたわけだ。
最初の寛解導入療法、その次の地固め療法と治療が進み、地固め療法の2クール目が終わったときにがん細胞が完全になくなったと言われた。その後も2クール抗がん剤治療をして骨髄移植に臨んだ。
とても良い状態で骨髄移植を迎えた。
それでもやはり、放射線照射と大量の抗がん剤投与という前処置の影響は大きく、いくつかの副作用や合併症を経験した。
移植が終わって半年。改めて振り返ってみようと思う。
まずは脱毛だ。
それまでの抗がん剤治療ではほとんど脱毛することがなかった。これは個人差が大きい。私はたまたま逃れただけだ。でも、骨髄移植のための前処置で全身に合計12㏉という量の放射線を浴び、さらに大量の抗がん剤を投与されれば誰でも脱毛する。
前処置が終わって2週間くらいすると髪の毛が抜け始め、あっという間に頭部が寒々しい状態になった。髪の毛がないと夏でも冷房が効いている部屋の中では寒いと感じる。その頃から昼夜とも帽子を被って過ごした。見た目をごまかすというより、防寒対策のほうがメインだ。
脱毛は一時的なもので一般的に数か月もすれば生えてくる。それもあって私はウィッグは買わなかった。ちょうど真夏だったこともあり、ウィッグなんて被って外出できないと思ったからだ。
髪の毛が生えてきたのを実感したのは脱毛して2か月後の8月だ。何の気なしに帽子を取って髪の毛を見たら生えていた、というものだった。毛量は日を追うごとに増えていき、10月には地肌が見えなくなっていた。
現在は白髪が増えることもなく伸びていくのを待っているだけなのだが、髪質は明らかに変わった。もともと多少くせ毛はあったにしても、今生えている毛はクルンクルンとた天パのような状態だ。これがもう少し伸びたところで髪質が変わるとは思えない。パンチパーマのようになったらどうしようと戦々恐々としている。
インターネットの情報を見ても髪質が変わるのは珍しくないようだ。髪が伸びて元に戻る人もいるし、そのままという人もいるらしい。私は果たしてどっちだろう。
口腔内トラブル
口の中のトラブルというのは食欲の減退に直結する。
私は病気になるまで口内炎というものをほとんど経験したことがないが、口内炎が1個でもできると痛くて食事をするのが億劫になることくらいは知っていた。
骨髄移植というより前処置の副作用だったと思うが、6月に入ると口の中があちこち痛くなり、あっという間に口の中や舌に無数の口内炎ができた。何をしても痛い。唇もぼろぼろになり紙コップに皮がくっついて剥がれたこともあった。ただでさえ食欲がなかった私に追い打ちをくらわした口内炎。あれは酷かった。二度とごめんだ。
そんな重度の口内炎が1週間くらいすると急に快方に向かった。ちょうど生着して免疫力が上がっていったためなのか、歯科から処方された軟膏やらうがい薬が効いたのかは定かではないが、こんな魔法みたいに短期間で治るものだと感心したのを覚えている。
7月、退院前に歯科受診を受けた時、よくなりましたね、でも移植が終わって100日くらいするとまた口腔トラブルが起きることがありますので、と言われた。その時は、なんて後ろ向きなことを言うんだ。せっかく治ったのに、と少しイラっとしたのだが、その後もその言葉が頭から離れなかった。
100日というのは急性GVHDから慢性GVHDに切り替わる時だ。厳密に100日ではないらしいが、忘れたころにまた口腔内トラブルが起きる可能性があるというわけだ。
それで今どうかというと、口内炎はない。ただ、常に口の中がいつも乾燥している状態ではある。一般的に喉が渇いたというときの乾燥とはレベルが違う。人と30分でも話をしていると口の中がくっ付いてしまうのではないかという状態になる。水で潤してもさして改善したとは思えないが、飲まないよりはましということで夜中もベッド脇にペットボトルを置いている。
このような状態はあの時歯科医師が言ったように100日を過ぎたころから始まった。そしてすでに数か月、改善することなく今に至っている。これが今後どうなるのか、治るのか、悪化するのか、心配の種だ。
爪が割れる(※写真あり)
爪がおかしいと気づいたのは骨髄移植が終わって1,2か月経ったころだっただろうか。ふと爪を見ると、根元がボコンと凹んでいる指が何本かあった。前処置の影響だろうと思ったが、特に何かできるわけでもないのでそのまま放っておいた。
爪が伸びてくると手先を使う作業に多少支障がでてきた。どうやら爪が二層になっていて、上側の層が下の層から剥がれそうになり、それが何かに引っかかると痛みが走るようになったのだ。そりゃそうだ、爪が剥がれるなんて痛いに決まっている。
料理をするとき、お風呂に入るときが一番指先を使う。どれだけ気をつけていても爪が引っかかるので、この頃はほとんどの指に絆創膏を巻いていた。
それでも、だ。上の層の爪が残り数ミリというところまでいくと、何かの拍子に引っかかって剥がれ落ちる。
なかなかグロい光景だった。
10本ともそのような状態になり、結局2,3か月の間は指先を使う作業に気を使っていた。
現在の爪の状態も健康そのものとは言えない。縦に黒い線が入っていたり、表面が少し凸凹している爪もある。
皮膚トラブル(黒ずみ・痒み)
皮膚トラブルというのもGVHDの症状の一つだ。私の場合は皮膚が黒ずんだり痒くなったりしたが、症状の程度としてはおそらく軽いほうだと思う。
黒ずみは特にお腹の周りがひどかった。黒ずんでいるというだけだったので医師には言わなかったし、いつの間にか、といっても数か月は黒かったはずだが、気づいたら治っていた。
痒みは骨髄移植が終わってすぐに出てきた症状だが、軟膏を塗っていたら1,2週間で治った。それが、9月頃からまた気になりだしたのだ。お腹や背中、肩、太ももの辺りが特に痒い。寝てる時に無意識に搔きむしって出血したこともある。痒くて目が覚めるともうダメだ。寝られない。彼氏さんを起こさないよう暗闇の中で屯用のかゆみ止めを飲み、軟膏を塗って何とかもうひと眠りする。そんなことが1か月程度続いた。今は痒みはまったくない。
以上の4つが私がこれまでに経験した骨髄移植後の副作用や合併症だ。他にもちょっとした症状はあったが、どれも時間が経てば気にならなくなり今はすべて治っている。
私はまだまだ慢性GVHDのリスクが高い時期にいる。今後も何かしらの症状が出ると思っている。
1つずつクリアしていくしかないだろう。
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